心に一滴の雫を。
「あと、急に宇高さんが消えたようにいなくなってしまっていた理由、わかりますか?」

正直こっちの方が重大だ。

不思議な雰囲気を醸し出してはいたけれど、一瞬でいなくなるのは人間には不可能。

つまりはー。

「あー、それ?あのヒト、っていうか人じゃないね。狼さんだったよ」

目も合わせないで、勝手に私の髪を弄りながらそう凱斗は言う。

「オオカミ、さん?あの人、狼?」

全く予想できなかった答えに、呆然と復唱してしまった。
< 36 / 60 >

この作品をシェア

pagetop