心に一滴の雫を。
「正確にはそれっぽいくらい、速く動けるって感じ。」

「へえ…」

「で、あの狼さんに嘘ついたのはね〜。…………だから」

「狼って人間の姿のときでも速いのか…。っ?今、なんて言いました?」

狼のことについてはあまり詳しくはなかったので、初めての情報に興味が向いてしまっていて。

後半部分の嘘をつかれた理由を、聞き逃してしまった。

「いや、別に知らなくてもいいんじゃない?そんなこと」

この話は終わり、と言うように私の髪から指を離す。
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