心に一滴の雫を。
〜〜〜

その後、なんとか注目浴びないように努めて、寮内の案内などその他諸々を乗りきった。

そして今、緊張で凝り固まっていた身体を癒しに、部屋の浴室へ来ていた。

なんでもこの学校、皆が一斉に入ってもまだ余裕のある浴場のほかに、部屋ごとに浴室があったのだ。

寮っていうから二人一部屋なんだろうな、と思っていたので、いい意味で裏切ってくれた。

「はぁ…極楽」

自身で入れたお湯に浸かるのは初めてで、不思議な気分になる。

控えめな光が浴室内を淡く照らす。それでも少し眩しくて、腕を伸ばして目を守る。

電気はつけなくてもよかったけれど、雰囲気は大事だと思う。

凱斗とベッドの上で話していた時にも気になっていたことがある。

なぜか部屋には一つしかベッドがなかったことだ。
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