心に一滴の雫を。
「…大きな音が聞こえたから…。なんかあったのかなって」

「え?もしかして…私が机を叩いた音かも」

「………」

凱斗は靴を脱ぐと、部屋の中へ勝手に入ってくる。

そして驚くヒマもなく、こちらを向いた彼の拳骨が、私の頭へ振り下ろされた。

ゴツンと音がなった割にはあまり痛くない。

それでも一応被害者ヅラをしておく。

「…痛いです。ひどい、女の子に暴力を振るなんて!」

「オンナノコって…。まあ、そう、だよね。それだけはごめん」

いちいち含みのある言い方をする凱斗。
< 47 / 60 >

この作品をシェア

pagetop