心に一滴の雫を。
たしかに、性別が女だと言っても自分はヴァンパイアなわけだし、人間みたいにか弱くはないけど。

そう思うだけでなんだか今は気分が落ちる。

「…わかってます。わかってるから、もう早く帰って…っ?」

ガチャリ、と扉が開けられる音が聞こえた。

場所は…隣だ。

「見回りでもあるの、ここ」

「うん。知らなさそうだったから教えに来たんだけど…もうここまで来てたんだ。困った困った♪」

…全然困ってない。むしろ彼はこの状況を楽しんでいるようだ。
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