心に一滴の雫を。
気持ち速めにスリッパに履き替えて講堂に入る。

中を見た瞬間、私は自分の目を疑ってしまった。

初めて数百もの人が一つの場所に集まっているのを見たのだ。

「………」

私の家は人里離れた地にあったから、友達なんて言える人もいない。

この中にいる人のことは誰一人知らないのだ、と思うと胃が痛くなる。

思わず身震いをしながらそっと新入生用の席の最後尾に腰をかける。

隣の人が同じヴァンパイアだったらいいのに、と思いながら。
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