心に一滴の雫を。
更に大きくなる足音を、うるさい心臓音と共に聞いた。

〜〜〜

「…はぁっ…はぁ…」

緊張のあまり、呼吸が浅くなっていることに聖歌は気づいていない。

スリルあふれる展開には慣れていないようだ。

もうすぐで部屋の前まで着いて、部屋の様子が見回りのヒトの視界に入る。

凱斗は彼女をもっとこちらへ近づけるために、右腕で背中を抱き寄せた。

「はっ……っ?!」

驚いて息を飲んだようで、息づかいが通常に戻りはじめる。

これで音でバレてしまう可能性はほぼなくなった。
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