心に一滴の雫を。
人間姿のコウモリ、セイは主人にも見せたことのない大人びた表情で問いかける。

彼はお気に入りがとられてしまったときのような、悲しそうな目をしていた。

「…いや、多分そういうことじゃないと思う。俺は…耳がいいからね」

一切の説明も加えなかったが意味は伝わったようで、セイはため息をついた。

「はぁ……。この飢えたケダモノを聖ちゃんにあまり近づけさせたくなーい」

「ははっ。その方が正解かもね」

乾いた笑いを残して凱斗は来た道を戻っていった。
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