心に一滴の雫を。

ご機嫌ななめ

午前七時十分。聖歌は遅刻しかけていた。

「起こしてよセイ。せっかくこっちに来たくせに…」

明らかに自分が悪いことはわかっていながらもつい、恨み言を口にしてしまう。

寮と学校は隣り合わせでとても近い。近いが、一年生の教室は他学年より一番上の階にあるため、ゆっくりしていられない。

悠長にベッドでゴロゴロと転がっていたセイが呆れたように言う。

「…セイちゃん。僕は使い魔だけど『世話係』ではないよ」

「ぐっ…。それはすみませんでした!セイ…さん」

元々はさん付けすべき子なのではあるが、いざ口にすると何とも違和感が拭えない。

遥かに年上のくせに見た目は小さいから調子が狂う。
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