果報者
「大丈夫やって、紺ちゃん。
姉ちゃんは紺ちゃんのこと待ってるよ。」





その言葉が
肩に置かれた手が



俺の背中を強く押してくれた。






「...ありがと」





まっすぐ俺を見つめる静哉に頷き
震える声でそう答え



静哉に渡されたまこの着替えが入ったカバン、
そしてさっき買った花を抱えて車を降りた。






病院に入ったらまこに会える。
久しぶりな姿は



想像するだけでも
まるで初デートみたいに緊張して



早く会いたいのに
部屋の前まで来たら
外からでも聞こえるんちゃうかってぐらい、
心臓の音がうるさくて



深い深呼吸を3回ほどして
俺は部屋のドアを開けた。
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