果報者
どのくらい時間経ったんかなぁ。



ぼーっと窓の外を見てると
背中にふわりと風が当たった。



振り返ると
そこには布団で髪がぐちゃぐちゃになり
俯くまこの姿があった。



頑なに顔を上げない彼女の髪を
手ぐしで直してやる。



長くて綺麗やった髪は
今やショートに変わり



モチモチのほっぺは
少し痩せてシュッとしてる。



全てを確かめるように
髪から頬全てをそっと撫でていく。








「........やっと出てきたな。」







俺の手が頬に触れた時
一筋の涙が伝った。



そして
彼女の手が俺の手に重なり







「......会いたかった.......っ」





小さな声が震えた。
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