果報者
静哉を困らせてるのは
重々承知してた。



静哉はなんも悪くない。
もちろんまこもなんも悪くない。



悪いのは全部俺やって。
今回も冗談で済ませよかって。



その後静哉の口から聞かされたことは
右から左に抜けるだけで



一気に何もかもを受け入れられるほど
俺は強くなくて




”一緒に病院行かへん....?”




大きな荷物を抱えて玄関で振り返る静哉の言葉に
返事することもできなくて



ただ、湖を眺め続けた。
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