果報者
どれぐらいいたかも分からん。



突然ポケットの中で震えた携帯の気配に
我に返った。



気付けばあたりは明るくて



毎朝設定しているアラームが震えてる。



流れた涙はとっくに枯れていて



なんで泣いていたのか
なんでここにずっといたのか



昨日聞いた話は夢だったのか



そう感じるぐらい
今日の空は快晴で、澄んでいて



眩しい光が俺を照らしてた。








「.......仕事行かな」





重い腰を上げ車に向かう。



家までの車内、流れてきたのは
あの日、彼女に捧げた曲で。



何かを思い出してしまいそうで
思わず止めた。



全てを冗談に、ポジティブに、
そう思うように生きてきたのに
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