果報者
一気に周りの声が聞こえなくなった。



持っていたフォークを落としそうになった。



彼女から目を離せなくなった。



何よりこれが
彼女と私が恐れていたこと。



ううん、彼女が一番
恐れていたこと。



昨日まで嬉しそうに話していたのに




”明日崇裕くんと2年記念日なんだ”って
喜んでいたのに



いとも簡単に彼女と彼の中に入り込んで




消えない存在を、悪を、
これ以上ないというほど恨んだ。





「.......なんで.....?」


「......................」


「取り除いたじゃん....」


「......................」


「もう平気だって言ってたじゃん......... 」


「......................っ」


「お医者さんだって,,,,,っ
検診だってあんまり行かなくていいって.......っ
言ってたじゃん.....!!」


「.....................志乃.......っ」


「なんでよ......っ...なんで.....!」
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