果報者
”泣いてばかりじゃ
せっかく久しぶりなのに勿体ないよ”




そう言って彼女が笑うから




”お腹の赤ちゃんもびっくりしちゃうよ”





優しい顔で
彼女のあったかい手がお腹を撫でるから



私も笑わなくちゃって
彼女のために笑うんだって
もう泣かないよって決めたんだ。





「あ、そうだ、志乃。」


「.......ん?」


「今日ね、記念日なんだけど、、」





ぐちゃぐちゃな顔を治すため
メイクルームに座る私に
まこは恥ずかしそうに言った。





「崇裕くんに何かあげたいなーって、
思っててね。」




それはまるで
付き合いたてのカップルのようで



頬を赤く染める彼女が
頬を緩ます彼女が
彼女の可愛い恋心が微笑ましくて
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