現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「で、目の前にいるカーライル子爵もその一人って訳。彼の場合はおこぼれに預かる父親の更におこぼれに預かるつもりなんだけどね」

「なるほど……」

イーディス嬢とヴェネディクトの縁談を進めたいというのは間違いないけど、その目的はイーディス嬢の幸せでもなんでもない。自身のメリットだったらしい。

そこまで納得して「あら?」と新たな疑問が浮かんでくる。

「じゃあ私を結婚相手に、と望んだのはどうして?」

ヴェネディクトをフリーにする為だったとしてもやり過ぎじゃないだろうか?しかも最終目的が自分の利益というほど自己中心的な考えの人が自分の人生を犠牲にするとは思えない。

でもその答えもすぐにヴェネディクトがくれた。

「僕を自分の犠牲にしてるってグレースを思考停止に追い込んでから、職の世話だの問題のある実家から出してやるだの、あんなに恩着せて結婚承諾させる目的なんて一つだよ。自分が愛人とよろしくやっても文句を言わない、従順で大人しく役割を果たす妻を持つことさ」
< 103 / 124 >

この作品をシェア

pagetop