現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
天使の企み
翌日から一週間、これまでと変わらない日々を送りながらグレースは考え続けていた。司書として勉強する合間にも、ヴェネディクトと出かける馬車の中でも。
「意味が変わってしまうわ」
「え?何?」
無意識にポツリと溢れた言葉に問い返されて、始めて声にしてしまった事に気付いて焦る。
「な、何でもないわ。それより、目的の街はまだ先?」
「もうちょっとかな。あの街にある教会は凄く素敵だからね。やっとグレースに見せられるなんて嬉しいよ」
首を伸ばして窓の外を見ているヴェネディクトははたから分かるほどウキウキしている。領地で一番大きな教会は建物も、そこに飾られたステンドグラスもそれは見事なのだと、数日前から何度もグレースに話していたくらいだから、よっぽどお気に入りなのだろう。
お陰でグレースの思案顔にも気付いていない。その事にほっとしながら、グレースはまた思案に耽る。
「意味が変わってしまうわ」
「え?何?」
無意識にポツリと溢れた言葉に問い返されて、始めて声にしてしまった事に気付いて焦る。
「な、何でもないわ。それより、目的の街はまだ先?」
「もうちょっとかな。あの街にある教会は凄く素敵だからね。やっとグレースに見せられるなんて嬉しいよ」
首を伸ばして窓の外を見ているヴェネディクトははたから分かるほどウキウキしている。領地で一番大きな教会は建物も、そこに飾られたステンドグラスもそれは見事なのだと、数日前から何度もグレースに話していたくらいだから、よっぽどお気に入りなのだろう。
お陰でグレースの思案顔にも気付いていない。その事にほっとしながら、グレースはまた思案に耽る。