現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「そうなら嬉しいけれど……。お仕事を教えていただくのってどれくらいの期間がかかるかしら?六週間くらいだと有難いのだけど」

「うーん、僕も司書の仕事には詳しくないから分からないけど、事情を説明したらその辺はどうにかしてくれるんじゃないかな?」

「だと良いのだけど……」

さっきまで「どうしよう」しか浮かばなかったのに急に解決策を提示されて、正直戸惑ってしまう。こんなうまい話、出したのがヴェネディクトでなければ裏があると疑ってかかったろう。

「とにかく、シーモア伯に話してみてよ。グレースが行けるとなったら、向こうの家に僕がお願いするからさ」

「え?私が先なの?お父様に許可を頂いたのにお断りされる、なんて事にはならない?」

「それは大丈夫」
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