現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「こ、婚約だって!?」
それまで一言も発せず状況を見守っていたシーモア伯が驚くほど大きな声を出した。それは毎日殆どの時間をベッドで過ごしている病人とは思えないほどのハッキリとした声だった。
「はい、シーモア伯」
「ヴェネディクト!」
急に何を言い出すのかと止めようとしたグレースの言葉はしかし、ヴェネディクトによって思いがけず両親に恋を知られてしまった乙女の恥じらいにされてしまった。
「勝手に話してしまってごめんよ、グレース。でもきちんと説明しなければご両親だって余計に心配してしまうし、グランサム公爵にだって迷惑がかかってしまうからね。ここは僕に任せて、ね」
「でも、ヴェネディクト……」
「いいから、任せて」
グレースにしたら急に訳の分からない話しが出てきて困っているだけなのだが、このやり取りをはたから見たらイチャついているように見えるらしい。父も継母も視線を逸らし、何度もわざとらしい咳払いを繰り返している。
それまで一言も発せず状況を見守っていたシーモア伯が驚くほど大きな声を出した。それは毎日殆どの時間をベッドで過ごしている病人とは思えないほどのハッキリとした声だった。
「はい、シーモア伯」
「ヴェネディクト!」
急に何を言い出すのかと止めようとしたグレースの言葉はしかし、ヴェネディクトによって思いがけず両親に恋を知られてしまった乙女の恥じらいにされてしまった。
「勝手に話してしまってごめんよ、グレース。でもきちんと説明しなければご両親だって余計に心配してしまうし、グランサム公爵にだって迷惑がかかってしまうからね。ここは僕に任せて、ね」
「でも、ヴェネディクト……」
「いいから、任せて」
グレースにしたら急に訳の分からない話しが出てきて困っているだけなのだが、このやり取りをはたから見たらイチャついているように見えるらしい。父も継母も視線を逸らし、何度もわざとらしい咳払いを繰り返している。