現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
ヴェネディクトもグレースに向かって小さく頷くと、シーモア伯夫妻に堂々と向き直った。
「僕たちは小さな頃から誰よりも近しく付き合って来ました。もちろん幼い頃のそれはただの幼馴染としてでしたが、成長するにつれてその感情が変わっても不思議ではありません。それにグレースはこんな美しく優しく成長したのです。男として意識しない方がおかしいでしょう?」
「美しいって……」
グレースは自分の容姿をちゃんと理解している。みっともなくはないが特別美しくもない、所謂普通というやつだ。それなのに、誰よりも美しい男に「美しい」と褒められても正直ちっとも嬉しくない。
不満げにボソリと呟いてみたが、それは見事に全員にスルーされた。娘を褒められて父の頬は緩んでいるし、継母は面白くないと表情に出している。
「僕たちは小さな頃から誰よりも近しく付き合って来ました。もちろん幼い頃のそれはただの幼馴染としてでしたが、成長するにつれてその感情が変わっても不思議ではありません。それにグレースはこんな美しく優しく成長したのです。男として意識しない方がおかしいでしょう?」
「美しいって……」
グレースは自分の容姿をちゃんと理解している。みっともなくはないが特別美しくもない、所謂普通というやつだ。それなのに、誰よりも美しい男に「美しい」と褒められても正直ちっとも嬉しくない。
不満げにボソリと呟いてみたが、それは見事に全員にスルーされた。娘を褒められて父の頬は緩んでいるし、継母は面白くないと表情に出している。