現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「グレース。お許しも頂けた事だし、準備しよう。善は急げ、だろ?」

ヴェネディクトは優しく微笑んでいるのに、グレースを見つめる視線は厳しい。「余計なことは言うな」と戒められているのがひしひしと伝わってきた。


そうだ。ここで全てを打ち明けてはせっかくのヴェネディクトの嘘も無駄になってしまう。


「え、あの、そうね。早速準備するわ。あの……ではお父様お義母様、失礼します」

グレースは慌てて頭を下げるとヴェネディクトと一緒に退室し、そのままグレースの私室へと向かった。






< 29 / 124 >

この作品をシェア

pagetop