現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
幼い時からとても優しい幼馴染み。小さい頃は本当に天使みたいだった。そんなヴェネディクトはグレースにとってアナベルやウィルターと同じく守るべき存在だ。
数年前から身長はグレースを追い抜いて随分大きくなったが、今でもその気持ちは変わらない。

「ヴェネディクトはこんなに綺麗だし、優しいし、素敵な男性ですもの。数年したらきっと裕福で爵位を持つ令嬢から沢山の縁談があるわ。その中から愛らしくて心優しい方と結婚して、頼れる旦那様、お父様になるの。私、その時をずっと待っているわ」

男性の結婚適齢期は二十代、ヴェネディクトに縁談が来るのはこれからだろう。その時までには仕事を得て、嘘の婚約から彼を解放してあげなれけばいけない。

かたやヴェネディクトが二十歳になる時、グレースは二十二歳だ。女性の適齢期は微妙に過ぎているし、仕事をしていれば縁談を断る理由にも出来る。その為にも今回の就職は是が非でも手に入れたい。
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