現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
「そんな事ないわ」

「あるよ!色々質問されて、途中から二人でずっと話してたじゃないか」

「それは……違うわ。そういうのじゃないの。ただきっと気になったのよ」

「ほら!気にされてるじゃないか!イーディス嬢も面白がるし、僕は気分良くなかったよ。だいたい、客の婚約者に関心を持つなんて失礼だし!」

話すうちに苛立ちも思い出してしまったらしい。珍しくとげとげとしたヴェネディクトの物言いにグレースは驚き、少し笑ってしまった。

「何?何がおかしいの?」

「ふふっ、ごめんなさい。だってヴェネディクトったらなんだか拗ねてるみたいなんだもの。それにね、カーライル子爵は私達の婚約は知らないのよ。結局、話には出なかったんだから」


「それはそうだけどさ……」
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