シャボン玉の君に触れる日まで
目を閉じて、ゆっくりと息を吸い込む。
そうして、さっと酸素を捨てた。
パタパタと歩きにくいスリッパで、無我夢中で飛び出す。血液が凍ってしまいそうな水の中に、足を滑らせた。
冷たいとか、痛いとか、寒いとか、そんなもの感じない。
ただ早く逝きたい。もう嫌なんだ。
何も聞こえない。何も感じない。
あの妙に明るい星々に吸い込まれる。
右に左に水を掻いた。服が水を含んで重い。
どんどん重みは増して、徐々に沈んでいく。そのまま深くまで落ちて、何に囚われることなく、死んでいきたい。
自殺なんて、馬鹿なことをするやつだと思われたっていい。
他人から見たら、忍耐力がないやつだと思うだろ。
勝手に思っておけよ。
所詮自分以外の気持ちなんて、これっぽっちもわかんねぇんだから。
どのくらい辛いとか、どのくらい嫌いとか、好きとかだって、どんな物でも人それぞれだろ。
俺は、生きるのが怖い。だから死ぬんだ。
視界が闇に染まる。
淡い月の光が、静かに湖底に伸びているように見えた。