シャボン玉の君に触れる日まで
足元を見つめていると、大きな拍手と席を立つ音が聞こえ、我に返った。
説明会は終わったらしい。
体育館を出てすぐのところに、エリが前回同様の姿で辺りを見回していた。
「あ、いた!じゃあ聖夜くん、回ろっか」
「ちょ、エリ!どこ行くのよ、今からグループに別れて校舎案内するんでしょ!」
『校舎案内はこちら』と書かれた看板を持った、友達らしき女子が走ってきて、エリの肩を掴んだ。
本来は押し寄せた人達を適当にわけて、案内する予定だったのかもしれない。
「あ〜…ごめん、はるちゃん。聖夜くんに案内するって約束しちゃったから〜。…頑張って!」
そう言い放つと、エリは俺の背中を押して人混みの中に紛れていく。
「ちょっと!…もう!それ終わったら今日こそ部活来てよ!?」
背後から怒り混じりの声が聞こえた。
エリは苦笑いをしながら、人の少ないところまで俺を押していく。それからはエリが前を歩き、それについて行った。
「さっきの…友達?大丈夫なのかよ」
「うん、友達で部長さん。まぁ…大丈夫大丈夫!」
いやそれ大丈夫じゃないだろ。
仕事押し付けていいのかよ。
部長さん…なんかごめんなさい。
俺もキャプテンだったから、その大変さよくわかるよ…。
心の中で部長さんを哀れみながら、歩き続ける。
遠くに見えていた、広いグラウンドとカラフルなビブスが徐々に近づいてきた。