シャボン玉の君に触れる日まで
「おえっ!!ゲホッゲホッ」
ツンとした鼻の痛みは全く取れない。
吐き気も止まらず、汚いとわかっておきながらも我慢することはできなかった。
それは明らか水らしきものだった。
喉がまだ気持ち悪くうねる。
意識はうつらだが、頭と心臓がドクドクと脈を打つうちに、やっと少しは思考が働いた。
天国って、こんなに苦しいものなのか…?
目が暗闇に慣れてきた頃、やっと耳に音が入った。
「君…!何してるの!? こんな寒い日に湖なんか入ったら死ぬよ!?」
突然後ろから降ってきたその声は、辺りに響くほどの高い音。
瞬時に女だとわかった。
死ぬよって……。
────ああそうか。やっぱり死ねなかったんだ。道理で苦しいはずだ。この世界は…苦しい。
闇の中で今、自分が手をついているのは、やはり地で。これが現実なんだと思い知らされる。
吸い込みたくもない酸素を体が勝手に補充して、息が荒くて声が出ない。鼻も痛くて、押さえるので精一杯だった。
水をたっぷり含んだ髪から雫が垂れ落ち、また体を濡らす。それに追い打ちをかけるように風が吹いた。