シャボン玉の君に触れる日まで
「でもね、お母さんとお父さんが死んじゃって、唯一人魚の血を繋ぐユカちゃんに預けられて…。
病院に行くようになってからわかったの。
私だけじゃないって。
人間にだって、不自由な暮らしをしている人だって、短命の人だっている。
私よりももっと小さい子が亡くなっていくところ、何度も見てきた」
冷たい風をなんとも思わぬ表情で、どこまでも遠い何かを見つめているエリは、この世界の誰よりも綺麗だった。
自分が辛い思いをしているのに、他人を想える彼女を尊敬した。
ここでエリのことを眺めながら死ぬ方が、幸せかもしれないと思ったほどだ。