シャボン玉の君に触れる日まで

「わざわざありがとうございます。でも、どうして二人で?」

俺の質問に、二人は目線を宙に泳がせる。

焦れったくなったのか、はる先輩が緑川先輩の手を取り、走り出した。

「二人で藤咲湖に行くのっ!あそこ恋愛スポットだって聞いたから!じゃあ、また学校でね!バイバイ後輩くん!」

二人は小道に向かって駆けて行った。

付き合ってたのか。

デート中なら、わざわざこっちに顔を出さなくてもいいのに。


俺と母は、車に乗り込んだ。

エンジンがかかり、動き出す。

病院の入口に立つ藤咲先生に、頭を下げた。


これから俺は、大人になるために前へ進み出す。



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