桜の下で会いましょう
第6章 あの時の姫君
数日後、帝の元へ太政大臣・橘文弘、関白左大臣・藤原照明・右大臣・藤原武徳が集まった。
「そろそろ、野行幸を行おうと思う。」
「おお!」
帝の一声に、蔵人達も混じって、感嘆の声を上げた。
「それは宜しい。皆も、喜ぶでしょう。」
関白左大臣も右大臣も、心躍っている。
「狩場までの行列は、若者を腰の左右に随行させましょう。」
「ああ、それもよい。で?どの若者に、随行させましょう?」
すると太政大臣・橘文弘が、扇を広げた。
「一人は冬の君、左大将・藤原崇文殿は、如何でしょう。」
崇文の叔父・右大臣の藤原武徳は、鼻を高くする。
「では、もう一人は夏の右大将殿ですかな。」
関白左大臣が、笑顔で言った。
「いえ……我が息子は、帝の横に。もう一人は、関白左大臣家の春の中納言殿に。」
これには、依楼葉の父・藤原照明も驚いた。
なにせ春の中納言が、文武両道と謳われたのは、咲哉が生きている時だ。
「そろそろ、野行幸を行おうと思う。」
「おお!」
帝の一声に、蔵人達も混じって、感嘆の声を上げた。
「それは宜しい。皆も、喜ぶでしょう。」
関白左大臣も右大臣も、心躍っている。
「狩場までの行列は、若者を腰の左右に随行させましょう。」
「ああ、それもよい。で?どの若者に、随行させましょう?」
すると太政大臣・橘文弘が、扇を広げた。
「一人は冬の君、左大将・藤原崇文殿は、如何でしょう。」
崇文の叔父・右大臣の藤原武徳は、鼻を高くする。
「では、もう一人は夏の右大将殿ですかな。」
関白左大臣が、笑顔で言った。
「いえ……我が息子は、帝の横に。もう一人は、関白左大臣家の春の中納言殿に。」
これには、依楼葉の父・藤原照明も驚いた。
なにせ春の中納言が、文武両道と謳われたのは、咲哉が生きている時だ。