桜の下で会いましょう
隼也の顔は、ぱぁーっと晴れやかになった。

「はい!左大臣家の一員となったからには、尚一層、励みます!」

隼也は、新しい家族に、無事迎えられることになった。


何よりも驚いたのは、何一つ攻め立てずに、隼矢を迎い入れた母であった。

「母上様。よく、隼也を許しましたね。」

「この家には、男がいないのです。仕方ないでしょう。」

母は、真っすぐに隼也を、見ている。


「聞きましたよ、帝との事。」

依楼葉は、お酒を溢しそうになった。

「これで女に戻れれば、我が家も盛り返せるやもしれません。」

「母上様?」

「まあ、そなたが入内すればのお話ですけどね。」

母は、フッと顔が綻んだ。


「但し、一番はあの子を見てですけどね。」

「隼矢を見て?」

「ええ。あの子、とても綺麗な瞳をしているのです。母御前がお亡くなりになって、純粋に家族を探し求めて来たのでしょうね。」

依楼葉は、ふぅーっと息を吐いた。
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