桜の下で会いましょう
第2章 桜の下の出会い
次の日。
咲哉は、峠を越えたと皆に、伝えられた。
当の本人は、密かに埋葬され、藤原咲哉という名も、伏せられた。
「咲哉。いつかこの墓標に、お主の名を刻むからな。」
咲哉に扮した依楼葉は、まだ名も刻まれていない墓石に、手を合わせた。
そして早速、父・藤原照明に、中納言の職を教え込まれると、やはり元が賢いせいか、ものの数日でその職務を覚えきった。
「依楼……いや、咲哉。今日から、中納言として出仕するが、心つもりはよいか?」
「はい、父上。」
元より中納言の職は、三大臣を補佐する役職。
左大臣が本当の父であるのだから、これ程心強いものはなかった。
だが難題は意外にも、家の中にあった。
「背の君様。ご回復、何よりもお喜び申し上げます。」
峠を越えたと聞いた妻・桃花がいち早く夫を、見舞ったのだ。
「ああ、有難う。」
その声を聞いた桃花が、目をぱちくりさせる。
咲哉は、峠を越えたと皆に、伝えられた。
当の本人は、密かに埋葬され、藤原咲哉という名も、伏せられた。
「咲哉。いつかこの墓標に、お主の名を刻むからな。」
咲哉に扮した依楼葉は、まだ名も刻まれていない墓石に、手を合わせた。
そして早速、父・藤原照明に、中納言の職を教え込まれると、やはり元が賢いせいか、ものの数日でその職務を覚えきった。
「依楼……いや、咲哉。今日から、中納言として出仕するが、心つもりはよいか?」
「はい、父上。」
元より中納言の職は、三大臣を補佐する役職。
左大臣が本当の父であるのだから、これ程心強いものはなかった。
だが難題は意外にも、家の中にあった。
「背の君様。ご回復、何よりもお喜び申し上げます。」
峠を越えたと聞いた妻・桃花がいち早く夫を、見舞ったのだ。
「ああ、有難う。」
その声を聞いた桃花が、目をぱちくりさせる。