桜の下で会いましょう
隼也は、自分を受け入れてくれたばかりか、そこまで言ってくれる父親に、胸が熱くなった。
「そこまでだ。太政大臣殿、関白左大臣殿。」
右大臣のあまりの困った様子に、帝も間に入った。
「太政大臣殿は、なぜ秋の中納言を、関白左大臣殿の息子ではないと、疑うのでしょうか。」
それに太政大臣・橘文弘は、冷静に答えた。
「これは私が聞いた話なのですが……秋の中納言殿は、母御前を亡くされた後に、関白左大臣殿の愛用の笛を持って、訪れたとか。」
「それがどうしたと言うのです!」
藤原照明は、床を扇で叩いた。
「私の覚えによると、関白左大臣殿の愛用の笛は、落として失くされたと仰っていたような。」
「うっ……」
そうなのだ。
当時藤原照明は、妻の東の方や依楼葉、他の人には失くしたと言っていたのだ。
「田舎に住む、落ちぶれた公家の息子がその笛を拾い、あたかも左大臣殿の息子と振舞ったのでは?」
「そこまでだ。太政大臣殿、関白左大臣殿。」
右大臣のあまりの困った様子に、帝も間に入った。
「太政大臣殿は、なぜ秋の中納言を、関白左大臣殿の息子ではないと、疑うのでしょうか。」
それに太政大臣・橘文弘は、冷静に答えた。
「これは私が聞いた話なのですが……秋の中納言殿は、母御前を亡くされた後に、関白左大臣殿の愛用の笛を持って、訪れたとか。」
「それがどうしたと言うのです!」
藤原照明は、床を扇で叩いた。
「私の覚えによると、関白左大臣殿の愛用の笛は、落として失くされたと仰っていたような。」
「うっ……」
そうなのだ。
当時藤原照明は、妻の東の方や依楼葉、他の人には失くしたと言っていたのだ。
「田舎に住む、落ちぶれた公家の息子がその笛を拾い、あたかも左大臣殿の息子と振舞ったのでは?」