桜の下で会いましょう
第17章 呪いの護符
しばらくして、若い公家による歌会が、催された。
隼矢は無事、関白左大臣家の息子として、堂々と出席する事になった。
そして催された歌会のお題は、この季節に相応しく秋だった。
「では、秋と言えば秋の中納言殿、如何かな。」
隼也は秋が訪れた事を詠んだ。
木の間より もりくる月のかげ見れば
心づくしの 秋は来にけり
(木々の間から漏れて来る月の光を見ると、心を使い果たす秋はとうとうやって来たのだなあ。)
「おお。さすがは関白左大臣殿の息子。情緒的ですなぁ。」
皆、隼也の歌を誉めた。
「なあに。歌会には、恋の歌が付き物よ。」
次は、冬の左大将・藤原崇文が詠んだ。
君しのぶ草に やつるる古里は
まつ虫の音ねぞ かなしかりける
(君を偲ぶという名のしのぶ草が生えて荒れた古里は、待つという名を持つ松虫の声が悲しいのだった。)
「ほほほ。さすがは、左大将殿。そのような女人が、いらっしゃるのでは?」
隼矢は無事、関白左大臣家の息子として、堂々と出席する事になった。
そして催された歌会のお題は、この季節に相応しく秋だった。
「では、秋と言えば秋の中納言殿、如何かな。」
隼也は秋が訪れた事を詠んだ。
木の間より もりくる月のかげ見れば
心づくしの 秋は来にけり
(木々の間から漏れて来る月の光を見ると、心を使い果たす秋はとうとうやって来たのだなあ。)
「おお。さすがは関白左大臣殿の息子。情緒的ですなぁ。」
皆、隼也の歌を誉めた。
「なあに。歌会には、恋の歌が付き物よ。」
次は、冬の左大将・藤原崇文が詠んだ。
君しのぶ草に やつるる古里は
まつ虫の音ねぞ かなしかりける
(君を偲ぶという名のしのぶ草が生えて荒れた古里は、待つという名を持つ松虫の声が悲しいのだった。)
「ほほほ。さすがは、左大将殿。そのような女人が、いらっしゃるのでは?」