桜の下で会いましょう
依楼葉の申す者は、佐島だった。

「ならば、申し分ない。左大臣家の敷地を、くまなく探してみよ。」

「敷地の中を?」

「今は、私を信じてほしい。」

依楼葉は、帝である桜の君の言う通りに、家の敷地内をくまなく探すように、佐島に言いつけた。


「なんだか、恐ろしい予感がしますね。」

「佐島もか?」

依楼葉も、なんだか背中に寒気がするようだった。

「ただ、旦那様の具合が悪いのは、おらも気にしてました。」

「そうであろう?」

「へえ。あの丈夫な旦那様が、ふいに病気になるなんて、信じられねえです。万が一、歳で病気になったとしても、ぽっくりいくと言うか。」

「佐島。」

「例えですよ。姫様。」


こうして佐島は、左大臣家の使用人を連れて、敷地の中をくまなく探した。

一日目は、何も見つからなかった。

「土の中や、天井の裏、普段人が近づかないような場所も、探してみよ。」
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