桜の下で会いましょう
「何なのだ!?これは!」

「あっ、父上様!」

藤原照明は、隼也が止めるのも聞かずに、それを拾い上げてしまった。


「こ、これは!」

佐島も隼也も、片目をつぶった。

「……呪いの、護符ではないか。」

へなへなと、父・照明はその場に、倒れてしまった。

「どこにあったのだ!」

佐島は、重い口を開いた。

「……母屋の、天井裏です。」

「天井裏!?しかも、母屋だと!?」

父・照明は、憤慨した。

「これは!関白左大臣家に対しての、嫌がらせか!!誰が一体、こんな事を!?」

それは、誰にも分からない。


「佐島は、誰に言われてこれを!」

「お、お許し下さい。姫様でございます。」

「依楼葉が?依楼葉が申したのか?」

「い、いえ。もっと上の方に、助言を頂いたかと。」

父・照明は、護符を白い布に包んだ。

「今すぐ僧侶を呼べ!呪いを解くのだ!」


その日の夜。

関白左大臣家には、読経が鳴り響いた。
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