桜の下で会いましょう
佐島からその事を聞いた依楼葉は、恐ろしさで体が震えてきた。

「原因が呪いの護符だったとは……して、父上様の顔色は戻られたか?」

「はい。数日前の青白い顔が、嘘のようにございます。」

「それはよかった。佐島、助かったぞ。」


しかしなぜ帝は直ぐに、家を調べろと申されたのか。

依楼葉は、ふと気になった。


「主上、申された通り探してみましたところ、天井裏から護符が出て参りました。」

「護符?それで、関白左大臣殿は具合を悪くしたのか。」

「それが……呪いをかけられた護符だったようで……」

帝は、ハッとした下を向いてしまった。

「それは何とも……恐ろしい思いをさせた。」

「はい……」

そして依楼葉は、思い切って気になる事を、帝に尋ねてみる事にした。

「主上。なぜ、父の具合が悪くなった時、我が家を探せと申されたのですか?」

「うん……」

帝は扇を閉じたり開いたりした。
< 334 / 370 >

この作品をシェア

pagetop