桜の下で会いましょう
第20章 入内へ
それからしばらくして、太政大臣・橘文弘が、隠居すると言う話を依楼葉は、耳にした。
「主上は、それをお許しになったのですか?」
依楼葉は珍しく、帝に物言いをつけた。
「許すも許さぬも、太政大臣殿がご自分で決めた事だ。反対する事など、できようか。」
依楼葉はすぐ立ち上がると、宮中で太政大臣・橘文弘の姿を探した。
橘文弘は、清涼殿から離れた場所にいた。
「太政大臣殿。」
「これは、和歌の尚侍。どうされました?」
噂は単なる噂だったのか、橘文弘は思ったよりも冷静だ。
「お忙しいところ、誠に申し訳ありませんが、お話させていただけますでしょうか。」
依楼葉の思いつめた表情に、橘文弘はすぐ側の部屋に入って行った。
依楼葉も同じ部屋に入り、橘文弘の斜め向かいに座った。
「さて、何のお話かな。」
「太政大臣の位の事です。」
「ああ、その事ですか。」
まるで、大事ではないと言わんばかりの、様子だった。
「主上は、それをお許しになったのですか?」
依楼葉は珍しく、帝に物言いをつけた。
「許すも許さぬも、太政大臣殿がご自分で決めた事だ。反対する事など、できようか。」
依楼葉はすぐ立ち上がると、宮中で太政大臣・橘文弘の姿を探した。
橘文弘は、清涼殿から離れた場所にいた。
「太政大臣殿。」
「これは、和歌の尚侍。どうされました?」
噂は単なる噂だったのか、橘文弘は思ったよりも冷静だ。
「お忙しいところ、誠に申し訳ありませんが、お話させていただけますでしょうか。」
依楼葉の思いつめた表情に、橘文弘はすぐ側の部屋に入って行った。
依楼葉も同じ部屋に入り、橘文弘の斜め向かいに座った。
「さて、何のお話かな。」
「太政大臣の位の事です。」
「ああ、その事ですか。」
まるで、大事ではないと言わんばかりの、様子だった。