桜の下で会いましょう
「今までは、あなたがいらぬ嫉妬をするかと思ってね。でもこれからは、もっと私の身の回りの事も、知ってほしくて。」

依楼葉は、苦しい言い訳をした。

「まあ。病気をされると、人は変わるのですね。」

「そ、そうだね。」

心なしか、肩を揉む桃花の手が、強くなっている気がする。


「痛いっ!」

あまりの揉む力の強さに、依楼葉は体を前にずらした。

なのに、桃花は平然な顔をしている。

「申し訳ございません。」

「あっ、いや……」

どうしてそんな顔をするのか、依楼葉には分からない。

「背の君様……まだ、お体が細いのですね。」

「あ、ああ……」

もしかして、疑っている?


「桃花……」

どうしよう。

本当の事を、言った方がいいのだろうか。


咲哉は亡くなり、自分は双子の妹の、依楼葉なのだと。


すると途端に、笑いだした桃花。

「ふふふ。そんな背の君様に、滋養を付けて頂きたくて、実家から栄養のある物を、取り寄せました。」
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