桜の下で会いましょう
だが今は、橘文弘も許したらしい。

「男女の双子とは、不吉の予兆。心中した者の、生まれ変わりと言われている。」

「心中した者の……生まれ変わり?」

依楼葉は、息を飲んだ。


「その為に、男女の双子が生まれた場合は、どちらか一方を、養子に出すのが習わし。共に育てるとは、左大臣家も思い切った事をしたものよ。」

依楼葉は、茫然とした。

男女の双子が、不吉。

父上も母上も、その事を知っていたのか。


「……そうだとすれば、私は両親に感謝致します。」

「ほう。」

橘文弘は、目を細めた。

「双子の妹とは、幼き頃から常に一緒でした。離されていたら、もう一人の私を知らずに、育っていたかもしれません。私は、妹と一緒に生きている事を、何よりも感謝致します。」

依楼葉は、記憶の中の咲哉を、思い出していた。


「そうか……。」

橘文弘は、スクッと立ち上がった。

「和歌の君の件は、私から帝に、待つように言いましょう。」
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