雨色のてるてるぼーず
「文化祭に来てた本橋女子の子なんだけど…」




「本橋女子って名門のあそこか!?」




「そうそこ。その制服を着たポニーテールにしてたあの表情の子にひかれた。」




「まぁ説明されてもどの子かわからないけど…ってお前もしかして…」




「うん。好きになった。その子のこと。」




“好きになった”という言葉を発した瞬間ストンと何かが胸におちた。




あぁ。俺はあの子のことが好きなのか。数秒目があっただけのあの子のことを好きになったのか。




どこか納得した自分もいた。




いわゆる一目惚れと言うやつだろう。




彼女の名前も知らないし、性格もわからなければどのような生い立ちかもわからない。




だけどあの表情が彼女の色んなものを物語っていた気がした。





彼女のまとっている空気はどこか冷たく、しかし人をよせつける笑顔をしていた。




そんな彼女を僕は…




「おい!陽!聞いてんのか!」





おっと、自分の世界に入りすぎて寛太の存在を忘れていた。





「いやー陽が恋なんてなぁ。今から色々教えてもらわなきゃな。今からいつものファミレス行くぞ!着いてこい、陽!」
< 26 / 86 >

この作品をシェア

pagetop