雨色のてるてるぼーず
「さぁて、聞かせてもらおうか。その子といつ出会った?」





ファミレスで夕方からハンバーグステーキとコーンクリームスープを頼んで一息ついた寛太がそう聞いてきた。





「カードゲームの館。ゲームしてたその子と目が合った。」





「うんうん。それで?」





「ん?それでって?それ以降何も無い。」





「え、目が合っただけかよ。一目惚れか?」






「そう。その子すごい緊張してた気がする。体が強ばってた。表情もなんかコロコロ変わってた。」




あの時、トランシーバーを片手にカードゲームをしている女に目がいった。





ゲームマスターのクラスメイトに何かをはなしかけられているが固まっている。





怖いのか、なんなのか。彼女の様子が気になった。





「よく一瞬でそこまで観察できたな。でも女嫌いで恋愛経験の少ないお前がどうしてそんなにすぐ自覚出来たんだ?俺はそれが一番の疑問だ。」





それは自分でも思っていた。





中学校の頃は共学で女が周りにいた。





だが僕のせいで女同士がトラブルになることが多かった。





少しでも僕と仲のいい女ができると、その女が周りの女から標的になりいじめられていた。





そのような出来事が度々重なって嫌気がさした。





だから高校は男子校に行って女から離れようと決めた。





そんな僕が初めて女子に恋をした。
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