雨色のてるてるぼーず
職員室で弟に荷物を渡したらほっとして思わず職員室にあるソファに座り込んでしまった。





「やめろよ。恥ずかしい。」





憎まれ口を叩く弟を無視し、職員室をあとにした。





だけど私の目的はまだ終わってはいない。竹中くんを探さなければ。




とりあえず一番聞きやすい弟に、




「ねぇ悠斗。竹中陽さんって知ってる？」




「は？何急に。知ってるも何も今年のミスターじゃん。」




あ、ミスターになったんだ！と少し嬉しくなりながらも話を続ける。




「お姉ちゃんその人に用事があって会いたいんだけど探してくれないかな？」




「なんで俺が探してあげなきゃなんねーんだよ。てかなんの用事？」





「え、えっと…なんの用事って言われても…やっぱりなんでもないや。」





私がそういうと弟はじゃ、といって部活へ行ってしまった。





こういう時嘘が少しでも出てこない自分に嫌気がさす。




適当な用事を考えてしまえばいいもののそこまで嘘は上手くない。





弟という手段を失った今、竹中くんに会うことは困難となった。




男子に話しかけることは出来ず、諦めて帰るしかなくなった。
< 33 / 86 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop