雨色のてるてるぼーず
「竹中くんはその寛太くんと高校から友達なの?」






それまで笑顔で話していた竹中くんが少し不機嫌そうな顔をしてぴたっと止まった。





薄暗い水族館の中でも水槽からの光で表情はよく見える。





「ど、どうしたの??」






「寛太は名前呼びなのに僕のことはなんで名字で呼ぶの?」





竹中くんは不機嫌そうに眉間に皺を寄せて私にそう聞いた。





寛太くんは竹中くんが寛太と呼んでいるからそん呼んだだけだ。





竹中くんには申し訳ないがその不機嫌そうな竹中くんを見て可愛いと思ってしまった。






「寛太くんは竹中くんが言ってるからわたしもそう呼んでるだけだよ」





そう言ってもまだ不機嫌そうだ。






これはどうしたらいいんだろう…






「栗田さんって少し鈍いとこあるね」





竹中くんにそう言われそれは違うなと思いながらも話を続ける。




「鈍くはないけど…どうして?」





「いや…ただ…」





「ただ…?」






「僕のことも名前で呼んで欲しいなって…あとあわよくば栗田さんのことも名前で呼びたい」
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