運命だけを信じてる

その夜、小牧さんから電話がかかってきた。バーベキューの帰りだという。


『無事に終わったのですね。良かったです』


「はい。これで未来プロジェクトの資料は遅延なく提出できます」


『一安心ですね。それで前山さんの連休のご予定は?』


「特に何も…」


料理を勉強する予定でパソコンで簡単レシピを調べてはいるけれど、今はまだ言えない。期待させてもね…。



『デートしませんか』


「ぜ、是非、お願いします」


まだデートという響きには慣れない。


『どこか行きたい場所はありますか?』


「えっと…」


本当はデートらしい場所に行きたい。
遊園地や水族館、映画館、有名テーマパーク。

行きたいけれど、連休だし混んでいるだろうな。男性は混んでいる場所に敢えて行く意味が分からないと思う。

私は結構、並ぶことは苦ではない方だ。だって待てばその先に楽しいことが控えているのだし。



『行きたい所がたくさんあるから、悩んでますか?それとも僕とは行きたいところは無い?』


すぐに返事をできなかったものだから、電話の向こうで自嘲気味に笑う小牧さんが想像できた。

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