運命だけを信じてる

春らしい淡い黄色のワンピースを着て、髪を巻いた。お洒落をしてきたつもりだけど、遊園地は歩くだろうとヒールのない靴を選択した点はマイナスポイントだろうか。

爽やかな風が小牧さんの金髪を揺らす。
通りすがりの女性だけでなく男性までも振り返る程に絵になる人だ。



「お洒落してくれて、ありがとう。僕のためって勝手に思っておきます」


「小牧さんはいつ見ても素敵です」


もちろんあなたのためーーとは恥ずかしくて返せません。


「前山さんに褒められると、嬉しいです」


にこにこと笑ってくれる。
会社では微笑むことはあっても、これほど柔らかい表情で笑っているところは見たことがない。
私だから?そんな風に笑いかけてくれるのでしょうか。



「私も払います」


チケットを見せて遊園地に入る。


「いいよ。僕の顔を立ててください」


「ありがとうございます」


「どういたしまして。さぁ行きましょう」


予想していた通り遊園地内はひどく混雑していたけれど、小牧さんは嫌な顔一つせずに付き合ってくれた。

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