運命だけを信じてる
楽しい。
小牧さんは私にも分かるような話題をふってくれて、並んでいる時間も苦にはならなかった。
「お化け屋敷なんていつ以来だろう」
「私は大学生の頃です」
「怖かったら抱き着いてきてくださいね。僕が嬉しいので」
1時間待ちのお化け屋敷前で、手を握る力を込められた。
「小牧さん…お化け屋敷より、小牧さんの隣りに居る方がずっとドキドキします…」
「僕も今日ずっと、ドキドキしてますよ。心臓の音、聞きます?」
「もうホントに恥ずかしいからいいです…!」
2人の間に甘い空気が流れる。
私たち、どこからどう見てもバカップルだ。
「嬉しそうだね。そんなに遊園地好き?」
小牧さんに顔を覗かれ、頷く。
「小牧さんとだから、遊園地が楽しいです」
素直な気持ちを吐き出す。
恋人の前で、心から楽しいと思えた瞬間が今までにあっただろうか。相手に気を遣い、好かれようと必死だった。
小牧さんなら、どんな私も受け入れてくれる。そんな光が見えた気がした。