運命だけを信じてる
「もうお昼休みだよ。ランチでも行こうか」
言葉の暴力でえぐられた胸に染み込むような優しい声。
「星崎課長…」
彼は、【営業部 第3営業課】の課長だ。同じフロアで働いているから、毎日顔を合わせている。
以前、コピー機がトラブルに見舞われて焦っていた時にサポート会社に連絡してくれて、他の課のコピー機を借りれるように手配してくれた恩人。もし会議までにコピーが間に合わなかったら、例え機械のせいであっても東課長は激怒したはずだ。
「君とはゆっくり話したことがなかったから。どうかな?」
そんな気分じゃない。
そう断っても温かい目で星崎課長は許してくれるだろうけれど、きっと今の私の状況を見て声を掛けてくれたに違いない。
だから控えめに頷いた。
「苦手なものはある?」
「いいえ」
キリキリと痛む胸を抱えて星崎課長の後について行った。