運命だけを信じてる

眼鏡の縁と同じ黒色の瞳は、真っ直ぐに私を見てくれた。東課長は私の目を見てくれたことがあったのだろうか。一度もなかったな。東課長にとって私はいなくても、いても同じ存在だ。

星崎課長は私の話に耳を傾けるだけでなく、よく笑ってくれた。


「そっか、前山は料理しないのかー。俺も今頃の男は料理もすべきだと同期に言われるけど、無理そうだ。手先が器用な方でないからな」


「そうですか?星崎課長はなんでもできそうです」


「止めてくれ。俺の不器用エピソード聞く?」


「是非お願いします」


日に焼けた肌とガッチリとした体型で、きっとスポーツをやっているのだろう。
無性に彼のことが知りたいと思った。


社内では他人と距離を置いていたし、本音で話せる友人もなく、人と深く関わりたくないと思っていたけれど、星崎課長のことに興味が湧いた。

恩人への好奇心ってやつ?

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