運命だけを信じてる
話は盛り上がり、あっという間に時間が来てしまった。名残惜しいな。蕎麦茶を飲みながらそう感じていると、星崎課長は咳払いをした。
「ひとつだけ言わせてくれ」
「はい」
「俺は器用な方ではないから遠回りになるだろうが、努力は嫌いじゃない。誰よりも働いて、俺は上へ行く」
「星崎課長は絶対に出世します。社内のみんながそう言っていますし、私も同じ意見です」
実力がある。 社内からの信頼も厚い。星崎課長のような人が出世できない理由などないよね。
「ありがと。今すぐには無理だが、人事権にも口を出せるように頑張る。いつか、おまえが俺のチームで働けるようにするからな」
「……」
言葉に詰まる。
「なるべく早くするから。…まぁ、おまえがそれを望むのであれば、だが…」
嬉しかった。
けれど口を開くより先に涙が溢れた。
抑えていたものが、一気に込み上げてきた。