運命だけを信じてる
アドバイスを書き留めていると、なんだか出来そうな気がしてきた。さっきまでひとつもイメージが浮かばなかったのに、具体的な切り口が見えてくる。
「まだ途中だが、俺のも見てみるか?参考になるか分からんが」
「有り難いですけど、チームが違う私に見せても大丈夫ですか?一応、ライバルですし」
ノートパソコンを隣りの空いている席で立ち上げた星崎課長は口の端を上げて笑った。
「1課と3課はライバルだが、俺と前山は敵じゃないだろ。ただ見たことは体裁上、秘密にな」
「はい!絶対に言いません」
本当は部外者の私には見せてはいけない。
それなのになんの躊躇いもなく教えてくれて。
星崎課長は私を信頼してくれていると、胸が苦しいくらい嬉しくなった。
2人だけの、秘密。
今日だけは仕事を振ってくれた神田くんに感謝しないとな。